中国の民主化 (5) 共産党の中国
1:中国における正当性・分け前中国が国家建設をした1940年代、毛沢東は国民(主として農民)に夢を与えて革命を成功させた。都市部は国民党が抑えていたため、支持基盤を農民に置く戦略を採用するしかなかったのだが、革命後に経済重視という政策に変更できず、生産性の低い農業に拘泥した結果、近代化の約束(経済成長の恩恵の配分)を果たせずに失脚した。その後、文化大革命(都市産業否定、農民励賛)という権力奪取のため...
View Article中国の民主化 (6) 現在の中国
1:人治の国、中国の将来中国の指導者や高位の官僚は、ずば抜けた頭の良さと心身の強靭さを持ち、彼らの持つ実力を実績で証明してきた共産党員の集合体だ。中国では、実績のある人に統治を依頼する「実績主義の人治」が基本となってきた。抜群の実績を示した人に対し、多くの国民は彼の支配権力を容認する(=天命があると考える)。そして、一旦社会的な合意が形成されると、その後はよほどのことがない限り意義申し立てをしない国...
View Article中国の民主化 (7) 社会主義とは
1:社会主義と中国共産党社会主義は、生産物や富を公平に分配することを目指す「分配主義」である。生産や消費に関しては、可能な人が可能なだけ生産し、必要な人が必要なだけ消費するのが社会のルールだ。能力のない人が少ない生産しかできず、しかも多くを必要とするなら、生産以上を消費することが許容される。その分は能力が大きく必要の少ない人が負担するという考え方だ。それを実現すべく、エリート(=共産党幹部)が計画を...
View Article中国の民主化 (8) 悩める民主主義
1:問題解決能力を喪失した民主主義中国に対して民主化を要求する欧米諸国だが、皮肉なことに民主主義の劣化が顕在化している民主主義は相互譲歩を有権者である市民に要求する制度だ。意見の異なる相手に対して自己の主張を絶対視し相手に譲歩しないなら民主主義は成立しない。民主主義は多種多様な主張を相互に調整妥協しながら合意点を見つけるシステムであり、絶対という概念は民主主義とは相いれない。時代の変化に応じて諸制度...
View Article中国の民主化 (9) 2023年までの中国
1:習近平の評価共産党が自ら民主化へ舵を切ることは組織論的にありえない。9000万人の既得権益グループの親分自らが、その権力を手放して現在享受している便益を他人に無償で譲り渡す行為を決定することは不可能に近い。民主化で便益を増やせる新勢力に率いられた国民的な運動が起こることが第一の条件だろう。なお、中国も新勢力が便益を増やす制度が民主主義でも社会主義でもない「第三の制度」を主張するかもしれないそれに...
View Article中国とイスラム過激派:キッシンジャーの遺言
キッシンジャーの国際秩序を読んで考えた。この本は、彼の遺書だと思いながら読んでいる。統治のために宗教を利用することは、古今東西の歴史が示してきた。キリスト教はローマ帝国が採用し、欧州の中世時代では「教皇権力が王権に勝る」状態に達し、キリスト教がカトリックとプロテスタントに分裂して以降は、国家も両派に分かれて戦う状況になった。商業と工業が進歩するにしたがって生まれた富裕な新興勢力が増加するにつれて、宗...
View ArticleNVidia : ゴールドラッシュの時のジーンズ供給者、今はAI、VR、ARのラッシュ
NVidia米国株投資をしている人なら知っている2016年のスーパースター的な株だ。現在の急速な上昇ペースのブル相場は、2015年夏に始まった。過去5回の決算発表はいずれもpositive surpriseで発表後の株価は大きく上昇している。同社は、2010年ごろから1:GPUはゲームや詳細な図面などのグラフィックスをPCスクリーンに描くチップに留まらない2:特定分野で求められているhigh...
View Article社会が育てる子供_1
農業が主たる産業の時代は、地域住民全体が共同して農作業を行っていた。子供は、そのコミュニティの労働力として位置づけられていた。田植え、稲刈りなどなどの農作業は一気にやってしまわねばならない。村人が総出で各田んぼを順番に回って作業する。当時の農村は、ある種の運命共同体的な性格を持っていた。共同体から見れば、子供は将来の運命共同体のための労働力だから、子どもをコミュニティ全体で見守り、育てるという思いが...
View Article社会が育てる子供_2
税金を受け取る側は、払う側の意向に従わねばならない、このことは農業時代でもそうだった。村の世話役が「払う側」で村の様々な事を担当しており、彼の意向で村の経営が行われていた。当然のことだが、世話役はボランティアで払う側を演じたわけではなく、世話をすることによる直接間接の利益があったから世話をしていたのだ。世話役は、村全体の経営が持続するように全員から何がしかを徴収してプール(=税金や保険料に等しい)し...
View Article社会が育てる子供_3
集団就職が社会を変えた。集団就職列車という特別な制度が、1954年~1975年という21年間存在した。(1)日本社会の工業化の進展と(2)地域コミュニティの相互扶助システムの崩壊が同時進行した時代だった。経済成長による税収の増大が、(2)の痛みをカバーすべく「地方に対するバラ撒き(地方交付税)」がなされた。また、田舎の労働力を吸収した企業に対しては「社内福祉的な意味合いも兼ねた終身雇用制度」が採用さ...
View Article社会が育てる子供_4
そもそも福祉とは一定の集団(コミュニティ)の中で生ずる「非常にかわいそうな事態への適度な救済」制度だ。夫に先立たれた無資産の妻と子供の養育に対する援助制度や、労働するには大きなハンディキャップを持った人間への支援制度などは、その代表例だ。コミュニティにおける福祉の大原則は「全員が相互扶助に参加する」である。福祉は天から降って来るものでもなく、第三者が恵んでくれるものでもない。参加とは「手間暇の拠出」...
View Article社会が育てる子供_5
育児の負担に少し遅れてやってきたのが、高齢化した両親の世話だ。育児は小さな子供の世話、高齢化した両親は大きな子供の世話、ということになろう。核家族化した現在の現役世代には、農業時代にはなかったようなダブルの負担が重くのしかかった。その負担を軽減するために、かつての農業時代のように、社会が子供を育て、社会が高齢者の世話をする、という制度に回帰することを望むかもしれない。社会とは何だろう?現代社会は、「...
View Article社会が育てる子供_6
都市において、夫に先立たれた妻と子供の養育や、労働するにはハンディキャップを持った人間への援助などを、都市コミュニティの構成員が全員で担当するなどという合意は無い。手間暇拠出という強制的な制度もない。集団就職時代以降は、すべては政府、自治体という公的な第三者が担当している。子育てもそうだ。田舎のコミュニティにかつて存在した「見守り、管理監督、教育」という機能は、現代社会には全く存在しない。そのすべて...
View Article目次:社会が育てる子供
1:社会が育てる子供_12:社会が育てる子供_23:社会が育てる子供_34:社会が育てる子供_45:社会が育てる子供_56:社会が育てる子供_6facebookコメントヘ
View Article信じる者だけが救われる : amazon & Salesforce.com
AMZNとCRMに共通するのは、個性の激しいCEOが会社を引っ張り続けていることだ。ジェフ・ベゾスとマーク・ベニオフという個性の強いCEOの強力なリーダーシップが会社の成長を支えている。足元の利益よりも「ライバルが追いつけないように先に先に」という経営をすることも共通している。そのための主たる戦略がM&Aで、将来有望で今後の成長に必要なことを他社が先駆けて始めている場合は、買収によって成長を...
View ArticleNVidia : AR、VRは、高性能GPUの需要を加速的に増加させる
前回の続きです7月に出てきたポケモンGOは、さらにGPU需要を拡大させるこれまで、VR(Virtual Reality、仮想現実)とか、AR(Augmented...
View Article同じ無給でも、派遣と地元代表では
中国において帝国が地方を支配する際に中央から派遣される知事のような人は無給だったという本を読んだ。地方に派遣されたら、その地方を経営して税金を徴収して中央に税金を送る。その際、地方経営費用は控除して良い。だから控除の際に自分の給料をそこから捻出するし、私腹を肥やす場合だって・・・それが中国に脈々と続く「腐敗&不正」の温床なのだろうと思っている。そんな制度なら、古今東西どこだって、と思っていたら・・・...
View Article物と心の利害関係、政教分離
宗教が個人の心の中に押し込められたのは最近の事である。少し前までは、宗教は生活の様々な部分と関係を持っていた。冠婚葬祭から居住の可否、国王の選定までが、信じる宗教によって支配された。その時代は宗教が物の利害関係に及んでいたので、宗教を変えることは頻繁に行われた。特に為政者は宗教を統治の手段として位置付けていたので、統治に有利な宗教への改宗が平気で行われた。宗教が個人の心の中に閉じ込められる、つまり政...
View Article2016年8月は過去と違う、、7月29日の日銀政策決定会合が引き金だったかも
日銀の金融政策決定会合(7月29日)だが、株式のETFの買い入れ増額はあったが。Jリートの増額は無かった。日銀の買い入れ金額と株式&Jリートの時価総額&売買代金を比較すれば、Jリートの購入は株式よりも相当インパクトがる高いレベルに既に上昇していた。これ以上の増額は短期的には好ましくないとの判断が働いただろう。...
View Article銀行受難は続く
世界的に、銀行はホント辛いね金利低下、特にマイナス金利採用で貸出金利が猛烈に低下した。借り手の企業は、長期債券の金利までがマイナスになったので、債券発行で資金調達すれば金利ゼロみたいなレベルで資金が調達出来る。預金は政治的な理由でマイナスにならないから、それを原資に融資をすると債券発行のような金利ゼロみたいなレベルを、銀行は提供できない。人件費とかシステム費用とかを考慮すれば、もう赤字状態金利が正常...
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